五感対話法

五感対話法(CF法)の理念

人は認知症等で様々な喪失を経験することにより、自身の存在に関わる問いや痛み(スピチュアル・ペイン)を抱える。
その痛みと過程に対し、五感を使って寄り添い、信頼関係を構築することによって彼らのスピリチュアル・ペインを受けとめる。
これまで多くのケアの現場において困難であったスピリチュアル・ペインへの共感を伴うコミュニケーションによって、全人的ケアをめざす。

五感対話法(CF法)はどうして誕生したのか?

価値観の多様化、ますます増大し続ける高齢化率の高さや広がりの中、
わが国では日本特有の文化や慣習に適合する新たなコミュニケーション法の必要性が高まっている。
そこで、認知症高齢者のコミュニケーション法の研究・実践を行ってきた都村をはじめとする
「五感対話ネットワーク」メンバーらによって、自らの存在に対する問いや痛みを抱え、
対話に困難を感じている人々のためのスピリチュアル・ケアとしてのコミュニケーション法を考案するに至った。

●当事者(ケアを受ける対象となる方)
認知症者をはじめ、スピリチュアル・ペインを抱え、コミュニケーションに困難さを呈している人々

認知症高齢者のスピリチュアル・ペイン

見当識や記憶の障害により、人生の統合を十分に行えない困難さ、さらにその困難さを表現できない苦しみ

末期癌をはじめとする難治性疾患患者のスピリチュアル・ペイン

遠からず死を迎えなければならない現実が迫る中、死の恐怖や人生の意味が見いだせない苦悩

自殺念慮者のスピリチュアル・ペイン

生きていくことに希望が持てず、死ぬことでしか楽になる方法はないといった絶望感

様々な喪失感を抱えた者のスピリチュアル・ペイン

大切な人、役割、財産、身体の機能等の喪失に直面した空虚感、事態を受け容れられない悲痛

●実践者(学ぶ対象となる方)
当事者の家族、専門職及びボランティアなど

五感対話法を用いることで期待されること

対象とする方の生きていく過程のなかで様々な喪失経験に基づく、
自身の存在の根底に関わる問いや痛みに寄り添い受け止めることが可能となり、
お互いの信頼関係の向上と心の安寧につながることが期待できます。
(対象:終末期、認知症、自殺念慮などの様々な苦しみ、喪失感を抱える人。)